2人で食事へ
大学の図書館を出て、2人で予約したお店へと向かう。
「資料1日で終わってよかったねーー!」
佐藤さんは腕を上げて体を伸ばす。
ノースリーブで腋が丸見えだからやめて欲しい。
さっきまで膝をくすぐりあっていたこともあり、どうしても意識してしまう。
「だね。何日もかかるかと思ってた」
正直、できれば何日もかけて共同作業したいと思っていた。
「けど私コピペしてばっかだったからもうちょっとやったほうが良かったかも?」
「正論を言うと、そうだね。正直、最後のまとめのところ全然集中できなくて誤字ってる自信ある」
「そういえば変換ミスってるとこあるの私みたよ」
「え?なんで言ってくれないの!?」
「ははは!だって、こちょこちょするのに必死だったから」
「もう・・・明日見直すよ」
「え、鈴木くん1人に任せるの悪いから、私も付き合うよ。私もくすぐったいの我慢しててコピペですらちょっと不安だし」
「コピペですら??」
「こちょこちょ全く我慢できなかった鈴木くんに言われたくないし」
「た、確かに・・・」
「しかも急にやるから私結構大きい声出ちゃってめちゃ恥ずかしかったんだからね?」
「ごめんごめん」
「まぁ、いいけど。後で仕返しするし」
「あ、覚えてたの?」
「もちろん。ご飯も楽しみだけど鈴木くんの反応も楽しみだなぁ」
「ご飯だけ楽しみにしてて!あ、お店この建物の3階だ」
「あ、ここ?りょーかい」
個室居酒屋でこっそりくすぐり
「「いらっしゃいませーーー!!」」
3階へエレベーターで上がると、店員さんに元気にお出迎えされる。
予約していた旨を伝えると、スムーズに案内される。
「こちらのお席どうぞ」
「個室なんだ?」
案内された座席を見て、佐藤さんはそう言う。
「そ、そーだったんだ。い、いいね!」
オレは個室なのは知っていたが、知らぬ存ぜぬを貫く。
座席は堀ごたつのようになっている。
部屋は完全に個室というわけでもなく、うっすら扉の外が見えるような感じだが、外から中は覗こうと思わないとはっきり見えないくらいの感じ。
2人専用部屋なようで、四方に座れるような席ではなく、四角形の2辺に1人ずつ座るようになっているよう。
これは予約する時は知らなかった。
2人で予約したからこの席になったんだろう。
向かい合うより距離が少し近くて嬉しい。
オレたちはそこに腰を下ろし、メニューを手に取る。
「何飲む?オレはまずビールいこうかな」
「私は、カシオレで!」
「ハハ、女子だね」
「女子ぶってるわけじゃなくて、ほんとに好きなの!あ、これ食べたい。あとは適当に選んでいいよ!私なんでも食べるから」
「わかった。じゃあ、店員さん呼ぶね」
テーブルに置いてあった呼出鈴を押す。
すると数秒で店員さんがやってくる。
「ご注文はお決まりですか?」
「はい。飲み物は、ビールとカシスオレンジで。食べ物は、ポテトフライとぉぉ!」
膝に急にくすぐったさがやってくる。
テーブルの下で、こっそりオレの膝をこちょこちょしているようだ。
今やる??と訴えかけるように佐藤さんの方をチラッとみる。
本人はニヤニヤとしながらも、ん?と首をかしげる。
その仕草も可愛くてなんだか憎めない。
オレの反応が大きかったからか、くすぐりは少し緩めてくれたよう。
店員さんは不思議そうな目でオレを見ている。
「あ、えと、ポテト、と、くっ、焼き鳥盛り合わせ、ください」
「以上でよろしいですか?」
「は、はい!い、いじょぅで!」
「かしこまりました。少々お待ちください」
店員さんは、スムーズにハンディに注文を打ち込むと、ドアをスッと閉めて出ていった。
出ていった直後、オレは佐藤さんの手を掴む。
「いまやる!?」
「ふふふ、急にテンション上がって人みたいで店員さん戸惑ってたよ??」
「いや、だって流石に不意打ちすぎるでしょ!」
「不意打ちも仕返しだよーーー。てか、注文少なくない??」
「オレももっと頼みたかったんだけど、くすぐったくて。つい注文終わらせちゃったじゃん」
「ははは!だと思った。飲み物きたらもうちょっと頼もっか」
「うん。その時はやめてよ?1品しか注文できなくなるから」
「ふふふふ、じゃあやめてあげるかぁ。お腹空いてるし」
またやる気だったのか・・・
くすぐられるのは嫌じゃないけど、流石に恥ずかしくて人が見ている前では無理だ。
すると、先に飲み物が届いた。
「すいません、追加で注文いいですか?」
「はい、承ります」
さっきまとめて頼めよ、というような表情は一切せず店員さんは追加で注文を聞いてくれた。
何品か注文している間も、佐藤さんが膝を触ってくるんじゃないかと少し身構えていたが、今回は本当におとなしくしてくれていた。
店員さんが出ていくと、佐藤さんは座る位置を少し近づけてくる。
「さっき警戒してたでしょ?」
「うん。佐藤さんならやりかねないと思って」
「私信用ないなぁ。ちょっとやろうと思ったけど我慢したしー」
「やろうと思ったんだ」
「ふふ、だって弱くて面白いんだもん」
「オレもこんな耐えられないとは思ってなかったよ」
「くすぐりなんてされるのいつぶりだろ。小学生とかそれくらい以来かも?」
「この年になってされることほとんどないよね」
「ね!しかも異性に肌直接くすぐられるとは思ってなかったよー。鈴木くん大胆だね?」
佐藤さんは少し意地悪な表情をしながらオレをいじってくる。
「あ、あんまりくすぐったく無さそうなとこって思ったら膝だったの!」
「ふふ。そかそかぁー。確かに上半身とかされてたらもっと大きい声出てたと思うから膝で助かったよ。あの声のボリュームですら周りから見られてたし」
「やっぱり上半身の方が効くんだ?」
「最近されてないから分からないけど、くすぐりの王道の腋とかは無理だろうね」
「確かに腋はくすぐったい場所の定番だよね」
「鈴木くん、膝ですら耐えられないんだから、腋やられたらヤバそうだね」
佐藤さんはそう言うと、オレの腋をツンと突いてきた。
「ひっ!!」
急だったのと、くすぐったいポイントにちょうど佐藤さんの指が入り、変な声が出てしまうのと同時に、佐藤さんの方に少し倒れ込んでしまった。
「ははは!鈴木くん弱すぎ!それとも私とくっ付きたかっただけ?」
「ち、違うわ!」
本当にくすぐったくて倒れ込んでしまったのだが、一瞬だけくっ付くことができて内心すごい得したと思う。
「ふふふ、顔赤いよ?ねぇねぇー」
佐藤さんは面白がってさらに腋を突こうとしてくる。
「や、やめ!これ以上やると仕返しするからね??」
反射で佐藤さんの両手を抑えつける。
「えー、別にいいけど?」
「え?いいの?」
「いいけど、異性の腋を直接触るのはどうかと思うけどなぁ。鈴木くんにその度胸があるならいいけど?」
う・・・流石にそれは童貞のオレにはレベルが高い・・・
ガードが何もないはずの腋なのにガードが固い。
「ふふ、私の勝ちだね。ツンツン」
仕返しできないことをいいことに、ツンツン攻撃をつづけてくる。
「や、やめ、ハハッ!ちょ、もう、オレだって!」
くすぐったすぎてやばいので、思い切ってオレも佐藤さんの腋をくすぐってみる。
佐藤さんは腋をガッチリと閉じて抵抗し、オレの方へ倒れ込んできた。
「やっ!」
「だ、大丈夫?」
オレがさっき軽く倒れた時のような感じではなく、完全に体重を預けてきている。
佐藤さんの両肩を掴んで声をかける。
「まさか仕返ししてくるとは思わなかった・・・てか、直接触られて私の方が恥ずかしいんですけど?」
体はオレに預けたまま動かず、顔を赤らめ、下から目線でそう言う。
「だっていいって言ったから」
「鈴木くんそんな度胸ないと思ってたのにぃ。くすぐられると思うと腋開けられないんだけど」
「ごめんごめん。今はもうやらないから!」
「今は?後でやる気??」
くっ付いてるのはあったかくて、いい匂いがしてめちゃめちゃ嬉しいのだが、アソコがどうしても反応してしまう。
佐藤さんは離れる気がなさそう。
それどころか、どんどんこちらに倒れ込んでくる。
や、やばい、ビンビンなのがバレる!
慌てて佐藤さんを引き剥がす。
一瞬オレのアソコが佐藤さんの体に触れた気もするが、バレてないことを祈る。
「う、うん。オレ散々やられたからね。仕返ししないと」
もうくすぐりフェチの心に火がついてしまって、くすぐりから離れられない。
「ちょ、ここではやめてね?ほんと恥ずかしいし、声丸聞こえだから!」
「わかった。じゃあご飯食べ終わったらカラオケでもいく?」
「そだね!声出し放題だし!」
そんなキリが良いタイミングで、頼んでいたご飯が運ばれてくる。
「わー、おいしそー!」
佐藤さんは料理を見て目を輝かせる。
普通にこういう無邪気なところも可愛いんだよなぁ。
佐藤さんのことは気になっていた程度だったが、今ではもう好きで仕方がない状態になっている。
2人夢中でご飯を食べ、お腹が一杯になる。
佐藤さんはそんなに食べるタイプではないようで、7割くらいはオレが食べた気がする。
おかげでお腹はパンパンだ。
「あー、お腹いっぱい」
「私もーーー。こんな状態でくすぐられたら出ちゃう」
「だね。ちょっとゆっくりしてからカラオケ行こっか」
「ふふ、くすぐりしにカラオケ行くってなんかいけないことしてる気分だね??」
「確かに・・・」
「けど鈴木くんくすぐるの楽しみ。周りの目気にしないでくすぐれるし」
「それはこっちもだからね?無防備な服で来たの後悔するから」
「わー、なんかやらしーーー」
佐藤さんはジト目でオレを見る。
「ごめん、ほどほどにするよ」
「ふふふ、こーゆうのに弱いよね鈴木くん。別にいいよ。好きにくすぐって。くすぐりあいっこ楽しいし」
くすぐりフェチじゃない人からこんな言葉を聞けるとは・・・
しかも好きな人である佐藤さんから。
フェチじゃないからこそこんなに軽く言えるのかな?
それはさておき、カラオケ、めちゃめちゃ楽しみ。
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