『五等分の花嫁』②中野一花によるくすぐり策略【くすぐり小説】

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くすぐり小説『五等分の花嫁』
出勤したが・・・??

くすぐりフェチ相手

次の定期テストまであと1ヶ月ほど。

学校ではテスト前の2週間は部活動は休みになる。

このくらいの期間から全員勉強モードになるのだが、この五つ子の場合2週間前から始めたところで全教科赤点回避などはできるはずがない。

そのため、そろそろ本格的に勉強を始めないとまずい。

今日こそ勉強させてやるぞと意気込みながら、今日も中野家へ到着。

「お邪魔しまーす」

家の中に入ると、今日はやけに静かだ。

もしかして、オレがくる前に勉強を始めているのか?

そんな期待を抱きつつ、リビングのドアを開ける。

そこにはソファーでいつも通り首にヘッドフォンをかけ、スマホをいじっている三玖のみ。

「他の4人はどうしたんだ?」

「さぁ、私は知らない」

「くそ、あいつら。勉強から逃げたな?とりあえず三玖は勉強始めてろ。オレが全員に電話する」

「私も、今日は勉強する気起きないな」

「なんだよ、三玖はなんだかんだやってくれると思ってたんだが」

真面目に取り組んでくれるのは日本史だけだが、そこには敢えて触れないでおく。

「じゃ、じゃあ、昨日みたいに…くすぐり対決で私に勝てたら勉強してあげてもいいよ」

「今日もか?まぁどうせオレが勝てるし、それで勉強してくれるならいいが」

「うん。負けたらちゃんとやる。けど私が勝ったら、そのままくすぐりっこだからね?」

「あぁ、いいぞ」

昨日は5人がかりのくすぐりですら耐えられたのだから、三玖1人にされるくらい余裕で耐えられるだろう。

「うん、じゃあ私の部屋、行こっか」

「部屋?わざわざ移動するのか?その前に一度他のやつらに電話させてくれ」

「だ、ダメ!!どうせ、こういうときは電話でないし。ね?」

なんだか三玖が急に焦り出して説得してくる。

「そうか?まぁいいか。早く終わらせて三玖には勉強してもらうぞ」

「うん。じゃあこっち」

「ん?そこは一花の部屋じゃないのか?」

「え?あ、そ、そうだった。こっちこっち!」

なんだかさっきから三玖の調子がおかしい気がするな。

三玖と2人きりでくすぐり対決??

「じゃあ、早くやるか。最初どっちから責める?」

「昨日はフータローく、フータローからだったから、今日は私が先に責める番にする」

そういえばさっきから、名前の呼び方も変だな。

「わかった」

そう返事をすると三玖はオレの背中をグイグイと押し、ベッドへと押し倒してきた。

「お、おい。ベッドでやるのか?」

「うん」

なんか今日の三玖は様子が変だし、こんな強引なこと今まで無かったような気がする。

「じゃあ、始めるよ?」

「お、おう」

三玖がスマホでタイマーをセットし、くすぐりが始められる。

よくよく考えたら、オレはかなり耐えられると思うが、どれくらい耐えれば良いんだろうか?

三玖のくすぐりが始められたが、昨日と同様オレはパーカーを着ており、その上から触られたくらいではあまりくすぐったくない。

「フータロー、腕下ろしたらダメだからね?」

喋るのがNGだったため、オレは頷いて返事をする。

すると、三玖は服の中に手を入れて肌を直接くすぐってくる。

「っ!!」

脇腹で素早く指を動かしてくすぐってくる。

これはくすぐりに強いオレでもかなりくすぐったい。

だが、昨日みたいに声が漏れてしまうのはギリギリ耐えることができた

昨日は一花に後ろから服の手の中に手を入れられて声が出てしまったのだ。

おいお前!何してんだ!

と目で訴えかけるも、服から手を出すことなくくすぐり続けてくる。

くすぐったいのもあるが、異性に体を直接触られたことすらないオレにとっては、恥ずかしさも大きい。

「すごい、これも耐えられるんだ」

三玖はそういうと、どんどん手を上へ上へと移動させてくる。

腋も直接触られめちゃめちゃくすぐったいが、さっき腕を下ろしてはダメとなったので、耐えるしかない。

今何秒くらいだろうか。

1分くらいは耐えないと安心できない。

全身に力を入れて必死に耐えるが、直接はなかなかしんどい。

すると、腋をくすぐっていた手がだんだんと内側へと寄ってくる。

腋からズレてくれてくすぐったさは軽減されてので、正直助かる。

が、どんどんとコチョコチョする手は止まらず内側へと迫る。

「あうっ!」

今まで触られたことのない刺激に、笑い声ではないが、声が漏れてしまった。

そう、乳首を直接くすぐってきたのだ。

「あ、声出した」

「おい、三玖!これは流石にダメだろ!」

「ダメなんて言われてないし。フータロー、タイムは50秒だよ」

「そりゃ、こんなことされるなんて思ってもなかったしな。まぁ、もう弱点はわかってるし。それ以内に笑わせればいいんだろ」

昨日も服の中に手を入れてきたやつもいたが、まさか三玖がこんなことをしてくるとは思っていなかった。

「うん。じゃあ交代ね」

三玖はそう言うとベッドに寝転がる。

弱点をくすぐっているはずなのに

「んじゃ、さっさと終わらせるか」

オレはタイマーをセットして、早速三玖の弱点である足裏を責めることにする。

三玖の膝あたりに座り、足を固定する。

そして、最初から本気で足裏をくすぐっていく。

昨日は立った状態で少し触っただけで耐えられていなったので、これなら確実に勝てるだろう。

足裏をくすぐり始めてから10秒ほど経つが、三玖はまだ笑いを堪えている。

乗っかっているので、くすぐったそうにモゾモゾと動いているのが伝わってくる。

昨日はあんなにくすぐったがっていたんだ、もう耐えられなくなる頃だろう。

そう思うもう10秒ほどくすぐるが、まだ笑う気配がない。

な、なんでだ!

やばいぞ、このままだと。

くすぐる場所を変えていくしかないか。

そう思い、下から徐々にくすぐる場所を移動させていく。

膝・太ももをくすぐるも、ここも少しくすぐったそうにしているが笑いそうにはない。

なら次だ。

脇腹・お腹周辺で指を素早く動かしてこちょこちょしていく。

表情はキツそうだが、これにもなんとか耐えている。

なら次は腋だ!

少し下されていた腕をグイッと上げさせ、ガラ空きになった腋をくすぐる。

「っ!!!」

これはさすがにくすぐったいようで、体をバタバタさせながら必死に耐えている。

時々息が漏れたような声が微かに聴こえるだけで、まだ笑ったとは言えない。

やばい、そろそろ時間なんじゃないか?

あとくすぐってない場所は首くらいか?

だが、腋も相当キツそうだ。

このまま腋をくすぐり続けるか、首をくすぐるか・・・

迷った末に、オレは首をくすぐることに決める。

首にかかっているヘッドフォンを外し、首を優しいタッチで、しかし素早く指を動かしてこちょこちょしていく。

「んーーーー!アハハハハハハ!」

三玖はオレの両手を掴むと同時に笑い出す。

オレは即座にタイマーの時間を止める。

「た、タイムは・・・」

「はぁ、はぁ、タイムは?」

三玖は少し息を切らしながら聞いてくる。

「53秒だ・・・」

「え?やった!フータローくんは50秒だったよね!?」

「あぁ、オレの負けだが、お前足裏が弱かったんじゃなかったか?」

「え、あ、まぁ?頑張って耐えたんだよ」

「昨日はあれだけで逃げてたくせに。それに首が耐えられないって・・・ちょっと待て。お前、まさか!」

オレは三玖の髪を掴み、バッと持ち上げる。

予想通り、髪は一瞬にして外れた。

三玖だと思っていた相手は、まさか一花だったのだ。

一花とのくすぐりあいになるかと思いきや

「バレちゃったか、あはは」

「やっぱり一花だったか。よくよく考えれば、今日なんだか三玖にしては様子がおかしいと思ってたんだ。名前もくん付けしそうだったり、部屋も間違えそうだったりしてただろ。けど、首をくすぐるまで気付けないなんてな」

「弱点覚えてるなんて、さすがフータローくんだね」

「まぁな。とゆーか、なんでこんなことしたんだよ」

「だ、だって、2人きりでくすぐりがしたいなんて言えなくて・・・誰かになりきれば言えると思っちゃったんだ」

「はぁ、お前なぁ」

「け、けど!私が勝ったんだから、約束は守ってよね!」

「オレが負けたらくすぐりっこ、だっけか?」

「う、うん」

「一花、お前くすぐるのが好きなのか?お前、昨日も服に手入れてきただろ!」

「うん。くすぐるの好きだけど、くすぐられるのも、嫌いじゃない・・・」

一花は俯きながらモジモジとそう話すが、顔が真っ赤になっているのが丸わかりだ。

「へ、へぇー、そうなのか」

「今引いたでしょ!ねぇ!約束は約束なんだから!」

「わかったよ。くすぐられるのも好きなら、オレがくすぐっていいか?」

「え?あ、うん。けど私も後でくすぐらせてよ」

「仕方ないな。約束だし付き合ってやるよ」

そして、オレが一花をくすぐろうと首に手を伸ばした、その時。

ガチャッ!

と玄関のドアが開けられる音が聞こえてくる。

「や、やばい!帰ってきた!」

一花はオレを突き飛ばして急いでリビングへとダッシュしていく。

どうやら、くすぐりはしなくて良くなったようだ。

オレも部屋を出てリビングの方へ向かう。

すると、そこには5つ子全員が揃っていた。

「なんでフータローが私の部屋から出てくるの」

部屋から出てきたところを見られ、本物の三玖からそう尋ねられる。

何て答えようか迷っていると、三玖の後ろでオレを睨みつける一花がいる。

絶対言うなよ、というテレパシーが聞こえてくる気がする。

「え、あ、ほら。あれだよ。お前らがいなかったから探してたんだよ」

我ながら、良い言い訳を思いついたと思う。

「いないって、フータローが今日はスタバで勉強するって、一花を通して言ってきたんでしょ?」

「え?そうだっ・・・」

聞き返そうとすると、一花が涙目でオレに訴えかけてくる。

一花以外がいなかった理由はそういうことだったのか。

「そうだったな。すまんすまん。やっぱり気が変わって家でやることにしたんだよ」

「はぁ?何それ?まぁ、新作のんびり飲んできたからいいけど」

二乃にはもっと文句を言われると思ったが、どうやらスタバの新作に助けられたらしい。

貧乏のオレには行ったことのない無縁の店に救われたようだ。

「じゃあ、勉強始めるか」

「何言ってんの?あと10分しかないじゃない」

時計を見ると、確かに仕事の時間はあと10分になっていた。

「うお、まじか」

「上杉が悪いんでしょ?急に場所カフェにしたと思いきや、家にするとか言われてないし」

「そうだな、すまん。一斉送信したつもりが、一花だけにしか届いてなかったみたいだ」

「はい、今日の勉強はおーわり」

「う・・・じゃあ、また明日な。明日は土曜だからみっちりやるからな」

そう負け犬の遠吠えをしつつ、オレは渋々と帰路につく。

すると、携帯に一通のメールが。

どうやら一花からのようだ。

『言い訳ありがとう。けど、約束はまだ終わってないから。明日、10時××駅に集合ね』

とのこと。

約束って、くすぐりのことだよな。

勉強は12:00からの予定だし、それまで2人で会おうってことか。

全く、あいつは話を合わせてやった罪悪感はないのか?

仕方ない。約束を破るのはオレの性分じゃないからな。

その代わり、その後勉強はしっかりしてもらおう。



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